こんにちは。ゆるり訪問看護リハビリステーション多摩の管理者です。

前回の「体験してもらいたいこと」では、利用者さんの「ありがとう」が直接届く距離についてお話ししました。
今回は、訪問看護ならではの
「工夫する面白さ」
についてお伝えします。

正解は、ひとつじゃない

病院では、処置や看護の手順がマニュアルで決められていることが多いです。
同じ物品、同じ環境、同じ手順。
それは安全を守るためにとても大切なことです。

一方、ご自宅では、環境が一軒一軒まったく違います。
ベッドの高さも、部屋の広さも、ご家族の状況も、その方の生活習慣も。

だからこそ、
「この家では、どうするのが一番いいか」
を毎回考える必要があります。

正解はひとつではありません。
その方とご家族にとってのベストを、一緒に探していく。
これが訪問看護の面白さです。

身近なもので工夫する

たとえば、床ずれを防ぐための体の向きの調整。
専用のクッションがすぐに用意できないときは、ご自宅にあるタオルや枕を組み合わせて工夫することがあります。

お薬の飲み忘れが多い方には、
日付ごとにポケットが分かれたお薬カレンダーを使ったり、
テレビの横など、毎日必ず目に入る場所にお薬を置いたり。

その方の生活をよく知っているからこそ、
「ここなら忘れないかも」
というアイデアが生まれます。

小さな工夫で、利用者さんの暮らしがぐっと楽になる。
その手ごたえは、とても大きいものです。

「生活リズム」に合わせたケアを考える

工夫が求められるのは、物の使い方だけではありません。

たとえば、朝はゆっくり過ごしたい方に、早い時間の訪問は負担になることがあります。
お昼寝の習慣がある方なら、その時間を避けて訪問を組み立てます。

入浴が好きな方には、体調を見ながらできるだけ入浴の機会をつくる。
人と話すのが好きな方には、デイサービスの利用を一緒に考えてみる。

その方の生活リズムや好みを知り、そこに看護をどう溶け込ませるか。
暮らしをまるごと見て組み立てていく面白さは、訪問看護ならではの魅力です。

多職種と一緒に考える

訪問看護は、ステーションの中だけで完結する仕事ではありません。

主治医の先生、ケアマネジャーさん、ヘルパーさん、薬剤師さん、福祉用具の事業所の方。
たくさんの職種の方と連携しながら、一人の方を支えています。

「この方、最近立ち上がりが不安定なので、手すりの追加を検討できませんか」
「お薬の飲み方、もう少しシンプルにできないか先生に相談してみます」

自分の気づきが、チーム全体の支援につながっていく。
病院とはまた違う、地域のチームの一員として働く実感があります。

小さな「できた」を一緒に喜ぶ

工夫がうまくいったとき、利用者さんやご家族と一緒に喜べるのも訪問看護の醍醐味です。

「先週から一度も飲み忘れがなかったよ」
「教えてもらったやり方で、体の向きを変えるのが楽になった」

そんな報告を受けると、自分のことのようにうれしくなります。
病院では見ることのできなかった「その後」を、自分の目で確かめられるからです。

一方で、うまくいかない工夫もあります。
そのときは、またやり方を変えて試してみる。
試行錯誤の積み重ねが、その方にぴったりのケアにつながっていきます。

自分の「看護観」が育っていく

工夫を重ねていくうちに、スタッフは少しずつ変わっていきます。

最初は
「マニュアルがないと不安」
と話していたスタッフが、
「この方なら、こうした方が過ごしやすいと思う」
と自分の意見を言えるようになる。

それは、目の前の利用者さんと真剣に向き合ってきた証です。
自分なりの「看護観」が少しずつ育っていくのを感じられる。
これも、訪問看護でぜひ体験してほしいことの一つです。

一人で抱え込まなくていい

「工夫するのは楽しそうだけど、自分にアイデアが出せるか不安」
そう思う方もいるかもしれません。

大丈夫です。
最初からすべてを一人で考える必要はありません。

スタッフ同士で
「こんなときどうしてる?」
と相談し合いながら、アイデアを持ち寄っています。
先輩たちの工夫を知るだけでも、きっと「なるほど」と思うことがたくさんあるはずです。

最後に

決められた正解をこなすのではなく、その方にとっての最善を考える。
訪問看護は、看護の「考える楽しさ」を改めて感じられる仕事です。

興味を持っていただけた方は、ぜひ一度、見学でその雰囲気を感じてみてください。

次回は、「病院との比較」の2回目として、医師との連携や判断の重みの違いについてお話しします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。