こんにちは。ゆるり訪問看護リハビリステーション多摩の管理者です。

訪問看護に興味を持ってくださる方から、よくこんな質問をいただきます。
「実際のところ、何が一番大変ですか?」

今回は、いいことばかりではなく、現場のスタッフが感じている「大変なこと」を正直にお話しします。

基本は「一人で」訪問する

病院との一番大きな違いは、訪問が基本的に一人だということです。

病棟なら、困ったときにすぐ隣に先輩がいます。
ナースコールが鳴れば誰かが駆けつけ、急変があれば医師もすぐに来てくれます。

ご自宅では、目の前の利用者さんと向き合うのは自分一人。
「この状態、様子を見ていいのかな」
「今すぐ受診をすすめるべき?」
その場で判断を求められる場面があります。

訪問看護を始めたばかりのスタッフが最初に感じるのは、この「一人」の緊張感です。

道具も環境も、病院のようにはそろっていない

病院には、必要な物品がすべてそろっています。
ベッドの高さは調整でき、照明も明るく、処置に必要なものは手を伸ばせば届きます。

ご自宅では、そうはいきません。
低い布団で処置をすることもあれば、薄暗い部屋で傷を確認することもあります。
物品も、持っていったものとご家庭にあるもので工夫するしかありません。

「この環境で、どうやったら安全にできるか」
毎回考えながら動くのは、慣れるまでは体力も気力も使います。

ご家族との関係づくりも、簡単ではない

訪問看護では、ご本人だけでなくご家族とも深く関わります。

介護に疲れて余裕がなくなっているご家族。
ご本人とご家族で、希望が違うこともあります。
「家で過ごしたい」というご本人と、「施設に入ってほしい」と考えるご家族。

どちらの気持ちも分かるからこそ、間に立つのは簡単ではありません。
言葉の選び方一つで、関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。

「何かあったら」の連絡に備える

もう一つ、訪問看護ならではの大変さが、緊急時の対応です。

利用者さんやご家族から、
「熱が出た」
「転んでしまった」
「呼吸が苦しそう」
と連絡が入ることがあります。

電話口で状況を聞き取り、すぐに訪問が必要か、主治医に連絡するべきか、ご家族に様子を見てもらってよいかを判断します。
顔が見えない電話だからこそ、聞き方ひとつで得られる情報が変わります。

この対応には、経験と落ち着きが求められます。
最初から完璧にできる人はいません。
先輩の対応を聞いたり、振り返りを重ねたりしながら、少しずつ身につけていくものです。

体力面・気持ちの面での大変さ

訪問看護は、一日に何軒ものお宅を回ります。
入浴介助や体位交換など、体力を使うケアが続く日もあります。

また、利用者さんの中には、病状が厳しい方や、気持ちが不安定になっている方もいらっしゃいます。
強い言葉を向けられたり、思うようにケアを受け入れてもらえなかったりすることもあります。

「自分の関わり方が悪かったのかな」
と落ち込んでしまうこともあるでしょう。

そんなとき、一人で抱え込んでしまうと、気持ちがどんどん疲れていきます。
だからこそ、つらかったことを言葉にして、誰かに聞いてもらうことが大切だと考えています。

それでも続けられる理由——一人だけど、独りじゃない

ここまで読むと、「やっぱり大変そう」と思われたかもしれません。

でも、ひとつ伝えたいのは、
訪問は一人でも、決して「独り」ではないということです。

訪問中に迷ったときは、ステーションに電話で相談できます。
「ちょっと判断に迷って…」という連絡は、まったく恥ずかしいことではありません。
むしろ、迷ったらすぐ相談することを大切にしています。

訪問から戻ったら、その日に気になったことをスタッフ同士で話します。
「あの方、最近ちょっと元気ないよね」
「ご家族への声かけ、こうしてみたらどうかな」
こうした何気ない会話が、次の訪問の質を上げていきます。

入職したばかりの方は、いきなり一人で回るのではなく、先輩との同行訪問からスタートします。
利用者さんのお宅の雰囲気やケアの流れを覚えてから、少しずつ一人立ちしていきます。

大変さの先にあるもの

一人で判断する緊張感は、裏を返せば
「自分で考えて動ける」やりがいでもあります。

病院では指示を待つ場面が多かったスタッフも、訪問看護を続けるうちに
「この方には今、何が必要か」
を自分で考えられるようになっていきます。

「大変だけど、病院にいた頃より看護師として考えるようになった」
そんな言葉をスタッフから聞くと、管理者としてもうれしく思います。

次回は、現場で実際にあった「感動したこと」をお届けします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。