こんにちは。ゆるり訪問看護リハビリステーション多摩の管理者です。
少し間が空いてしまいましたが、今日からまた、現場のことやスタッフが日々感じていることを少しずつお伝えしていきます。
今回のテーマは
「訪問看護の仕事で、私たちが大切にしていること」です。
病院では「患者さん」、ご自宅では「その家の主(あるじ)」
病院で働いていた頃、私たちの前にいるのは「患者さん」でした。
決められた病棟のルールの中で、治療を受けるために過ごしている方です。
でも、訪問看護で伺う先は利用者さんのご自宅です。
玄関を開けた瞬間から、そこはその方の暮らしの場。
長年使ってきた湯のみ、こだわりの座布団の位置、毎朝見ているテレビ番組。
そこにいるのは「患者さん」ではなく、その家の主です。
私たちはあくまで「お邪魔させていただく側」。
この感覚を、スタッフ全員がとても大切にしています。
「正しいケア」より「続けられるケア」
医療的に見れば、「こうした方がいい」という正解はたくさんあります。
塩分は控えた方がいい。もっと歩いた方がいい。お薬はきちんと時間通りに。
もちろん、それを伝えることは私たちの大事な役割です。
けれど、正しさだけを押しつけても、暮らしの中では続きません。
たとえば、お味噌汁が何よりの楽しみという方に
「塩分が多いからやめましょう」とだけ伝えても、その方の毎日は少し寂しくなってしまいます。
だからこそ、
「お味噌汁は一日一杯にして、具をたっぷりにしてみましょうか」
「減塩のお味噌もありますよ。一度試してみます?」
と、その方の楽しみを残しながら一緒に方法を考えます。
正しいケアより、その方が続けられるケア。
ここが訪問看護の腕の見せどころだと思っています。
「できないこと」より「できていること」を見る
訪問を重ねていると、どうしても「できなくなったこと」に目が向きがちです。
立ち上がりが遅くなった、食事量が減った、物忘れが増えた。
でも同じくらい大切にしているのが、
「今日もできていること」に目を向けることです。
「今日もご自分で着替えられましたね」
「お庭の花、きれいに咲いていますね。毎日お水をあげているんですか?」
そんな何気ない声かけで、利用者さんの表情がふっと明るくなる瞬間があります。
できていることを一緒に喜べる関係が、次の一歩への力になると感じています。
小さな変化に気づくために
訪問看護は、毎日ずっとそばにいられるわけではありません。
週に1回、2回という限られた時間の中で、その方の状態を見ていきます。
だからこそ、小さな変化に気づく力が求められます。
いつもより声に張りがない。部屋が少し散らかっている。冷蔵庫の中身が減っていない。
血圧や体温の数字だけでなく、暮らしの「いつも」と違うところに気づくこと。
それが、体調の悪化を早めに見つけることにつながります。
気づいたことはスタッフ同士で共有し、必要があれば主治医やケアマネジャーさんにもすぐ連絡します。
一人の目ではなく、チームの目で見守る。これも大切にしていることの一つです。
「待つ」ことも大切な看護
もう一つ、現場で大切にしているのが「待つ」ことです。
訪問の時間は限られているので、つい私たちが先回りして手を出したくなります。
ボタンを留めるのに時間がかかっている方を見ると、「お手伝いしますね」と言いたくなる。
靴下を履くのに苦戦されている方がいると、さっと履かせてあげたくなる。
でも、ご自分でできることを私たちがやってしまうと、その方の「できる力」は少しずつ弱くなってしまいます。
そして何より、「自分でできた」という自信を奪ってしまうことにもなりかねません。
時間がかかっても、ご自分でできるところまでは見守る。
どうしても難しいところだけ、そっと手を添える。
「待つ」ことは、何もしていないように見えるかもしれません。
けれど実は、その方の力を信じて支える、とても大切な看護だと考えています。
その方のペースに合わせて、一緒に時間を過ごす。
病院の忙しさの中ではなかなかできなかったことが、ご自宅ではできるのです。
「また来てね」と言ってもらえる訪問を
帰り際に
「また来週ね」
「あなたが来ると安心するわ」
と言っていただけると、本当にうれしくなります。
私たちが目指しているのは、医療の専門職でありながら、
その方の暮らしにそっと寄り添える存在であることです。
「ゆるり」という名前のとおり、
利用者さんにもスタッフにも、少し肩の力を抜いて過ごしてもらえるような訪問看護でありたい。
これからもその想いを大切に、一軒一軒のお宅に伺っていきます。
次回は、訪問看護の「大変なこと」についても正直にお話ししたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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