こんにちは。ゆるり訪問看護リハビリステーション多摩の管理者です。

今回は、スタッフが訪問看護の仕事を通して「感動したこと」をお話しします。
※利用者さんやご家族が特定されないよう、内容は一部変更しています。

「病院じゃなくて、家に帰りたい」

ある日、病院から退院される方の訪問看護のご依頼がありました。
病状は進行していて、残された時間はそれほど長くないと伝えられていた方です。

ご本人の希望は、はっきりしていました。
「最期は、家で過ごしたい」

一方で、ご家族は不安でいっぱいでした。
「家で何かあったら、どうしたらいいのか分からない」
「苦しそうにしていたら、私たちには何もできない」

その気持ちは当然のことだと思います。
ご家族にとって、大切な人の最期を家で看ることは、初めての経験だからです。

不安を一つずつ、言葉にしていく

最初の訪問で私たちが大切にしたのは、ご家族の不安を一つずつ聞くことでした。

夜中に呼吸が苦しそうになったらどうするか。
食事がとれなくなったらどうするか。
痛みが強くなったときはどうするか。

一つひとつに対して、
「そのときはこうしましょう」
「迷ったら、いつでも電話してください」
と具体的にお伝えしました。

主治医の先生やケアマネジャーさんとも連絡を取り合い、
お薬の調整や、介護ベッドなどの福祉用具の準備も進めていきました。

家だからこそ見られた表情

退院してしばらくは、ご本人の表情がとても穏やかでした。
住み慣れた部屋、見慣れた天井、窓から聞こえる近所の音。

「やっぱり家はいいね」

そうつぶやかれたとき、ご家族は少し涙ぐんでいました。

体調の良い日には、ご家族と一緒にお茶を飲んだり、
昔のアルバムを見ながら思い出話をしたり。
病院では面会時間に限りがありますが、家では時間を気にせず一緒にいられます。

訪問するたびに、少しずつ体は弱っていきました。
それでも、その方らしい穏やかな時間が流れていました。

最期の日

そして、ある朝。
ご家族から連絡があり、私たちが伺ったときには、静かに息を引き取られていました。
ご家族に囲まれた、とても穏やかなお顔でした。

その場でご家族がおっしゃった言葉を、スタッフは今でも覚えています。

「最初は本当に怖かった。でも、家で看ることができてよかった。
あなたたちがいてくれたから、最後まで頑張れました」

お別れのあとも

看取りのあと、ご家族と一緒にお体を整えさせていただきました。
お気に入りだった服を選び、髪をとかし、お顔を整える。
「この服、好きだったよね」と話しながら手を動かすご家族の姿は、静かで温かいものでした。

後日、改めてご挨拶に伺うと、ご家族は少し落ち着いた表情で迎えてくださいました。

介護の日々を振り返りながら、
「もっとできることがあったんじゃないか」
と話されるご家族もいます。
そんなときは、ご家族が精一杯支えてこられたことを、きちんと言葉にしてお伝えするようにしています。

ご家族を支えるということ

在宅での看取りは、ご本人だけでなく、ご家族を支えることでもあります。

退院からしばらくたったころ、ご家族から夜に電話をいただいたことがありました。
「呼吸の様子がいつもと違う気がして、怖くなって」

お話を聞くと、事前にお伝えしていた、最期が近づいたときに見られる変化の一つでした。
「以前お話しした変化ですね。苦しさがないか、表情を見てあげてください。そばにいて、手を握ってあげてください」
そうお伝えすると、ご家族は少し落ち着かれたようでした。

あらかじめ「これから起こりうること」を知っておくことは、ご家族の安心につながります。
怖さを完全になくすことはできなくても、
「知っていたから、慌てずにいられた」
と後からおっしゃるご家族は少なくありません。

看取りは「その人らしさを守る時間」

病院で働いていた頃、看取りは忙しい業務の中の出来事の一つになりがちでした。
ご家族とゆっくり話す時間は、なかなかとれませんでした。

訪問看護では、その方とご家族が過ごす最後の時間に、深く関わらせていただきます。
私たちがしているのは、医療的な処置だけではありません。
ご家族の不安を受け止め、その方らしい最期を一緒に守ることです。

もちろん、悲しさがないわけではありません。
訪問のたびに顔を合わせてきた方とのお別れは、スタッフにとってもつらいものです。

それでも、
「家で過ごせてよかった」
と言っていただけたとき、この仕事を選んでよかったと心から思えます。

次回は、看護師やリハビリ職の方に「ぜひ体験してもらいたいこと」をお伝えします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。